30th
日本企業がアメリカに進出する場合で、売るものが決まっている場合は、ゼロから組織を立ち上げるのもありだ、と書いた。ありではあるのだが、そのためにはゴール設定を明快にして、高い報酬を払ってでも優秀なトップを採用し、戦略のズレが生じたらこまめに話しあって方向修正をし、だめだったらトップを切って他の人にする、といったことが必要だ、と書いた。
これ、ムチャクチャ難しいですよね?
実行するためには、今は存在しない外国の組織の3年後をイメージする、ってなことが必要です。
* 「そんな大言壮語するより、まず小さくやってみようよ」っていうのじゃだめなの?
ダメです。そういう人は、アメリカにこない方がいいです。失敗するから。こういう感じで来る会社を、大企業からベンチャーまで、たくさん見てきましたが、残念ながら
watch a train wreck in slow motion
です。「電車事故をスローモーションで見る」=惨事になるとわかっていながら、止めることができない、そして、なぜ事故が起こるかのディテールまでじっくり見えてしまう・・・ということ。なぜかというと
* アメリカのビジネス社会は「体でわかる」というのがものすごく難しい
アメリカには、東京のように、人材も、会社も、役所も、文化も何もかもが集積していて、その辺を歩きまわるだけで、なんとなくイメージが湧いてくる、という場所がない。
1時間のミーティング一つするのに、悪くすれば1泊2日かかる。東海岸と西海岸は、東京とバンコクぐらい離れているので。シリコンバレーの中の会社同士だって、片道車で1時間、なんてのは結構ざら。遠いのです。(サンフランシスコとサンノゼは、東京から筑波山に行くくらいある。)
その上車社会なので、たとえ住んで・働いても、自分の家の中と、近くの日本食屋と、自分のオフィス(自分しかいないかも)しかわからない、てなことになりがち。
On Off and Beyond: アメリカ進出にあたってM&Aを活用すべき理由
これを見て心が痛くなった人がかなりいるはず。本質をついているね。
だから渡辺さんがよく言うように、日本人がシリコンバレー付近で働きたければ、それなりのUSの理工学系の大学院の博士課程を出てそのままポスドクのまま残るかなんらかの特技を作ってUSの大企業に就職するか、日本に進出している企業に雇われてそこでステップアップして本社に行くか、すでに職のある豊かなUS市民と結婚して長期的に就職活動を行うか、のどれかしかうまくいきにくいんだよね。
意図しなかったにしろ渡辺さんもモッチーと一緒に誤ったシリコンバレー幻想を日本に与えた戦犯の一人であるのは確実なんだけれどね。その人が、お前ら日本人がUSで成功し、自分の企業をグローバル企業にするなんて眠たいこと言う前に現実をみろよ、と言っているということだね。正しい。まあ、LunarとLingrが撃沈してから、誰もそんな非現実的な夢など持っていないのは事実であるのだけれどね。
エンジニアであるなら別にUSにいる必要は全くないもんな。githubやgoogle codeで勝手に初めりゃいいだけだからな。むしろ、世界を制覇するようなすごいものを狙っているのなら、向こうにいる方が雑音が多すぎて、できるものもできなくなると思うよ。未だに各種展示会や開発者会議や言語やフレームワークのイベントにただお上りさんで参加するだけの日本人エンジニアはタイガイにした方がいいんじゃないかと、何年も前から僕は周りには言っているんだけれどね。
というかね、USはJPなんて最初から相手にしていなかったし、今は確実にJPはデフォルトパッシングするというのが常識になっているけれど、これから僕らは安全保障は別にして、商売としてはUSを相手にしていても意味が少ない時代になってるんだよね。そろそろ、USへの憧れトラウマは捨てないとさ。